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ジャズピアノ教室
~ジャズピアノ 難しい!?

クラシックのピアノを長年弾いてきて、ピアノは弾ける自信はある。巷に流れるおしゃれなサウンドのジャズピアノや、「美の壺」で流れているジャズにあこがれ、ぜひジャズピアノ弾いてみたいと自分なりに本を買ってチャレンジしてみる。楽譜があればクラシックの経験を生かして、ジャズといえども同じピアノ、弾けるだろうと思ってトライ。でもジャズピアノとなると弾けない!楽譜は弾けるのに?どうして?ジャズピアノは難しい!という印象を持つ方は多く、半ばで諦めてしまう人が多いのが事実です。


生徒さんの中には、ジャズピアノの初回レッスンで「これだけジャズの本を買って読んで研究して、色々弾いてみましたが、ジャズになりません!先生なんとかしてください!」と多くの教則本や楽譜を机に、ドン!と置いて切実に訴えられる方がいらっしゃいました。


初心者でも弾ける~という類の楽譜集、コード一覧表、コードについての理論書、音楽理論、ジャズ理論、スケールの本、アドリブの弾き方等々。巷には色々な種類のジャズやジャズピアノに関する本が出ています。初心者でも~、誰でも弾ける、、タイトルにひかれて今度こそはと期待をしつつ手にしてみるが、難しい!?どれが良くてどれが悪いのか?根本的にジャズは向いてない??その本はなんとか弾けたけれど、この先は?お悩み解決には至らない場合が多いようです。


こういう悩める方に、どこからお話しして、納得してもらおうかと考えた時に、「群盲像を評す」という寓話を思い出します。


「群盲像を評す」とは、数人の盲人が象に触れることで、「それはどんなものか?」と問われた時、ある盲人は足を触れ「柱のようだ」と言い、ある盲人は尾を触り「縄のようだ」、ある盲人は鼻を触り「木の枝のようだ」、ある盲人は耳を触り「扇のようだ」、ある盲人は牙を触り「パイプのようだ」とそれぞれが答えた。話はそれぞれ食い違うが、象の異なる部分を触れたからで、象とは、それぞれの言う特徴を全て備えているものだという寓話です。


生徒さんの持ってこられた本や楽譜はどれも正しくて、1冊1冊の特徴を全て備えているものがジャズ・ピアノなのです。しかし全体像が捉えられず、難しい印象を持つことになってしまっています。


ならば、理論書等は難しいとしても、楽譜なら読めるし弾けるから、ジャズピアノも簡単に弾けるのでは?と思うかもしれませんが、楽譜の情報は(クラシックの場合でも)せいぜい60%くらい、という人もいるくらい、全ての情報を書き切れるわけではありません。スイングのリズムのことや、アクセント、ニュアンスだったりジャズ特有な特徴は楽譜に全て書ききれ無いのです。特に長年身についたクラシックのイントーネーションではジャズには聞こえないことが多く見受けられます。



別の角度から、お話しします。

「ジャズ」に限らず、まず「音楽は言語」なのです。


英語を習いはじめた時、同じ言葉でも母国語(私の場合日本語)と英語の違いに戸惑ったことを思い出してみてください。This is a pen.(これはペンです)という簡単な文章ですら、英語は主語ー動詞ー補語で日本語は動詞が一番最後に来るという語順の違いなんてそれまで考えたことなかったと思いませんか?母国語で話す時、一々語順や文法のことを考えずに無意識で話しています。違う言語と比較することで、初めて母国語の特徴がわかり、そこにはその言語ならではの文法や言い回しなどあることに気がつきます。


音楽に置き換えるならば、クラシック経験者にとってクラシックピアノは母国語で、ジャズは第2言語になります。ですが、割と近い語族なので少し安心してください。英語と日本語ほど違いは大きくありません。

問題はクラシックピアノでは自らが発信することがほとんどなかったということです。クラシックピアノでは楽譜に書かれていることを忠実に弾くことが練習やレッスンの中心だったということです。



英語学習で言うならば、従来の英語学習では、リーディングや、文法、リスニングは中学~高校まで6年間勉強してきますが、自ら発信するスピーキング、ライティングはあまりやってこなかった方が多いと思います。

母国語では、無意識ながらもアウトプットすること、発信すること、話したり書いたりすることは必然的に、日常的におこなっていますよね。


クラシックで楽譜が読めて弾ける、或いは音楽理論を勉強した人にとっても、それはリーディングや文法は身についているということで、スピーキングができるのとは別のことです。アウトプットの即興や作曲を行なってきた人は少ないでしょう。母国語ながらも発信、アウトプットすることに慣れていないのです。


ジャズではリーディングや文法は、スピーキングやライティングのように発信するためのもので、市販のアレンジされたジャズの楽譜をそのまま弾くだけでは、人の真似をしてそのままコピーしてスピーチしているようなもので、ジャズをやっている人から見ると、そのまま弾いて自分の演奏であるとするのはあまり価値ないとみなされてしまいます。練習や分析するために弾くのは有効な勉強にはなりますが。


ジャズは自分で話す内容を考えてアウトプットすることが求められます。

アドリブはその一部になってきます。テーマを自分でボイシングしたり、リハモニしたり、構成を考えたり、イントロ、エンディングをどうするか自分で考えて演奏できるようになることが、まずはジャズが弾けることにつながってきます。

クラシックピアノでは、バロック、古典、ロマン派、近現代の4期のスタイルごとに、作曲家の作品を演奏することを学びますが、近現代の中にジャズのスタイルとして書かれた曲を弾くのと、ジャズピアノを弾くというのは全く異なることなのです。



この点が、クラシックピアノの経験があっても、ジャズピアノは難しいと思う原因です。


ジャズのニュアンスは楽譜には書ききれない情報がある。クラシックのように楽譜は絶対ではない。アレンジされ楽譜になったものを弾くだけでは「ジャズピアノが弾ける」ようにはならないということ。

さらに、ジャズピアノとは自ら発信すること、英語のスピーキングのこと、これはクラシックピアノではほとんどやってこなかったことで、自分で弾くことを自分で考えることができるということ。


この2点がクラシックのピアノは弾けても「ジャズピアノは難しい」と感じる大きな原因となっていると考えます。そして、「難しい」点は、どの段階になっても課題として出てくるものなので、まず初心者の「難しい」を乗り越えていくため、目標を定めることが大切だと思います。

まずは、ピアノトリオ形式で演奏できるようになること、そしてセッションに参加して演奏できるようになることです。そしてそれが楽しいと感じるようになることです。まず目指すべき第1段階です。


「いえ、私は一人でピアノが弾ければいい」という方もいらっしゃると思いますが、ジャズピアノのソロピアノのスタイルの演奏はかなり難しいと思ってください。そして、市販されたアレンジされた楽譜の多くはこのソロピアノスタイルなのです。


私の考えるジャズピアノのスタイルの難易度は以下の通りです。


歌の伴奏>ソロピアノ>デュオ>コンボ、ビックバンド>ピアノトリオ


突き詰めるとどのスタイルも難しい点はあると思いますが、初心者にとってという視点からこのように考えます。


それでは、どうやったらジャズピアノを弾けるようになっていくのでしょうか?

先ほどお話しした「群盲像を評す」のような大きな像をはじめから目指すのでなく、子像から始めましょう。触ってみて像だと把握できるところから、だんだん像を大きく育ててみましょう!




ピアのトリオ形式で演奏していけるようになるために必要なこと


まず、像の足であるハーモニー

  ・コードがすぐにわかる

  ・さらにテンション入りのボイシングが掴める

  ・II-V7-Iのトレーニングなど


像の鼻であるメロディー

  ・メロディーを黒本などの1段譜をそのまま弾くのでなくリズムを変えて弾く

  ・或いは両手でボイシングして弾くなど


像の尾であるイントロ、エンディング

  ・どのようなイントロ、エンディンか

  ・お決まりのパターンなどどのようなものがあるか?


像の耳であるアドリブ

  ・アドリブをどうするか?

  ・曲のコード分析からスケールがわかるか?

  ・耳コピーや市販の楽譜を弾いてみて分析、研究して部分的に真似をしてみる

  ・ジャズの言語を学ぶ、等


ざっくりと大まかなことですが、ピアノトリオ形式で1曲スタンダードを仕上げていくのに必要な手順の概要です。

さらに各項目から派生して、II-V7-I、スケール、リック、言語、ボイシング、曲の分析に伴うジャズ理論などなど、、、膨らんでいきます。


市販されている本の中には、この段階での派生のふくらみの部分を「初心者用」としてタイトルにあることが多いように見受けられます。ジャズの専門家からしたら、確かに初心者なのですが、一般読者の「初心者」とは意味が少し異なり、それが「難しい」印象を持つにつながっているように思います。

これらの点から、ジャズピアノ全体の中で、自分自身が何に困っているのかが分からないことが多く、「群盲像を評す」に当たると感じる方は、信頼できる先生を探してレッスンを始めてみることをお勧めします。


その際、よくコミュニケーションを取って、理解してもらってお話ししてみてください。


私も、そうやっていい師匠と出会いました!

あなたの弾く音があなたのサウンドだから、と。


ジャズピアノには、「これ」という絶対的メソッドがあるわけではありません。ミュージシャンそれぞれの独自の方法をお持ちです。参考にしながら、ご自分の方法を探してみていってください。


ジャズピアの人口が増えること、ジャズ仲間が増えること楽しみにしています。

このワクワク感を味わってみませんか?

ジャズを皆んなで楽しみましょう!

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